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柔らかい毛並み

ゆるく思ったことを綴ります。

横道世之介

今日はあったかい絨毯の上でほっこりと、読書に現をぬかした1日でありました。

本日読み終えたのは、この1冊です。

横道世之介 (文春文庫)

横道世之介 (文春文庫)

最近、図書館に通ってみるものの、どの作家さんの本を読もうか、皆目検討がつかず。好きな作家さんの本は、大体読んでしまっているし。おすすめの本とか、よくTVでも紹介されているけれど、皆がおすすめして売れている本が自分の好み、とは限らない。 もちろん、自分で適当に選ぶよりは当たり!な確率は高いでしょうが。

そこで。

『王様のブランチ』が恋した本

『王様のブランチ』が恋した本

読みたいお話をこの本から探し出してスクショし、順に読んでいくことにしました。 皆がおすすめ×自分が好きな話、ならば自分好みの小説ではないか。私なりに効率良く好きな作家さんや本に出会うために、考えた方法です。

...私はいつも前置きが長くなるんですが、そんな方法で私がスクショした本の1冊が、これ、「横道世之介」だったわけです。

端的に言えば、「当たり!」でした。文章の書かれ方、表現の仕方。感覚的に大好きです。 主人公である横道世之介についての描写も、読んでいてとっても微笑ましい。例えばそれを現すこんな一節。

「教室の窓の外は高い秋空である。窓ガラスに触れるように伸びたイチョウの葉が色づき、今にも風に吹かれて落ちそうである。終了時間を気にして早口になった教授の講義を聞きながら、窓際の席で揺れる葉に合わせて幸せそうに頭を揺らしているのが世之介である。」

微笑ましくて、私も頭を揺らしそうでした(笑)。 そんな世之介の大学生活を描いたこの作品ですが、このふわふわした日常の雰囲気の中、ふいに非日常な出来事も起こったりして、それもまた作品の魅力でした。 また登場人物のふとした思いに、はっと考えさせられるものがあります。例えば、これ。親友であり「愛ちゃん」の母親でもある女性からの子育て相談を受けて、キャリアウーマンな独身女性がぼんやり思った、この一節。

「(愛ちゃんの母親は)学校選びを含め、愛ちゃんの人生にとって『大切なもの』を与えてやろうと必死になっている。もちろんとても素晴らしいことだと思う。しかしこの仕事を始めてからつくづくと思うのだが、大切に育てるということは『大切なもの』を与えてやるのではなく、その『大切なもの』を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることではないかと思う。」

深い言葉だなぁと思いました。私は子どもを育てたことないという点で甘ちゃんではありますが、仕事で色々な母子に会う機会が多いだけに、付箋を貼りたくなった箇所でした。

登場人物が多いのも特徴で、よりリアルに世之介の周囲の世界が伺えます。人にあまり頓着しないけど、妙に人懐っこくて素直で、運良く色んな出会いに恵まれる世之介。それなのに欲のない世之介。

最近仕事で焦っていた自分が、少し馬鹿馬鹿しく思えました。色んな人生の生き方があるわけです。今やってる仕事を一生していく!(ここまで来たら、していかなきゃ!)って感じてた思い込みがひゅーってしぼんで、肩の力が抜けた感じでした。

繰り返しますがそんな日常の中で起こる非日常。それを日常のように淡々と描いていることに、読了後は爽快感すらおぼえました。

ちなみに、私は小説を読む時、主人公や主な登場人物は頭の中で容姿をイメージしてしまいます。私の中での世之介は、最近髪切ってないでしょ?ってくらい髪がもっさりした、黒縁眼鏡にパーカーが似合う男性でした。

この本、映画化されていて、世之介を演じたのは高良健吾さんです。

映画チラシ『横道世之介』

映画チラシ『横道世之介』

映画のチラシを見て、私のイメージの中の世之介は、本の世之介よりダサいかも、と思い直しました。本を詠みながら、ダサい世之介が頭の中に浮かんでくると、頭を振って高良健吾さんの世之介の画像を見ながら、読みすすめたのでした。